辺見マリが借金地獄に落ちた「拝み屋」詐欺、4つの洗脳ステップ

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辺見マリが借金地獄に落ちた「拝み屋」詐欺、4つの洗脳ステップ
歌手の辺見マリさんが、2015年9月14日に放送された『しくじり先生俺みたいになるな!!3時間SP』(テレビ朝日系)で「“洗脳”されて人生ドン底に落ちてしまった先生」として登場したことが大きな話題になりました。

“拝み屋”と称する人物の口車に乗せられ、騙し取られた金額は総額5億円。
華やかな芸能生活の裏側で借金地獄に落ちていた辺見さんの「私はこうして騙された!」という実体験エピソードは多くの視聴者に衝撃を与えました。

辺見さんは「この中で私は絶対に洗脳なんてされないと思っている人いる?その人はもう洗脳の入り口にいます。危険よ」と番組冒頭で警告しました。自分が金銭的にルーズではなくとも、悪い人に洗脳されて借金地獄に陥る危険は誰にでもあるのです。

その危険を回避するためには、彼らが行う「騙しのテクニック」を学んでおく必要があります。彼女がどのように騙され、いかにして借金をさせられていったのかをひも解いてみましょう。

「神様と話せる人がいる」地獄の入り口になった言葉

19歳で芸能界デビューした辺見さんは、色っぽい「やめてぇ~」というフレーズで知られるヒット曲『経験』で弱冠20歳にして歌手としてブレイク。NHK『紅白歌合戦』に出場するなど大活躍しましたが、人気絶頂の1972年に歌手の西郷輝彦さんと結婚し、そのまま引退します。

のちに人気タレントとなる娘・えみりさんら二児に恵まれましたが、幸せな結婚生活は長くは続かず81年に離婚。慰謝料はなく、ほかに稼ぐ当てのなかった辺見さんは芸能界に復帰します。

しかし、思うように仕事は増えず、さらには一般の人が「辺見マリってもう古くない?」と言っている場面を偶然目撃。精神的にひどく落ち込み、将来に不安を感じるようになってしまいました。

そんな中、辺見さんは37歳の時に男性マネジャーから「ぼくの知り合いで神様と話せる人がいるんですけど、会ってみませんか」と声を掛けられます。当初は「何言ってんねん(笑)」と心の中で嘲笑していたそうですが、実際に会ったのが運のツキ。いともたやすく洗脳されてしまいます。

辺見さんは、その段階を「洗脳の4つのステップ」として解説しています。

第1のステップ「安心」…人の心をつかむ詐欺テクニック

その拝み屋・Kと会ってみると、相手は夫と息子を連れてきました。男性でも女性でも初対面の相手が一人なら警戒心が生まれますが、家族と一緒なら「普通に社会生活をしている人なんだな」と安心します。結婚が社会的信用につながるといわれる由縁でもあるでしょう。

実際、辺見さんは相手の家族がいることで安心したといい、さらにAは「当時42歳くらいで見た目は普通のおばさん」という容貌。「神様と話せる」などと言うわけでもなく、辺見さんの相談を否定せずに聞いてくれたそうです。

これで一気に親近感が湧いた辺見さんは、頼りになる相談相手としてKと頻繁に会うように。しかも、Aは「お金なんていらない」と何度会っても料金を要求せず、気が引けた辺見さんが自らお金を渡すようになります。

第2のステップ「驚き」…現実的な人ほど騙される!

いつものようにKに相談していたある日、辺見さんは衝撃的な「予言」を言い渡されます。「このままでは、えみりさんの目が見えなくなりますよ」とKから言われたのです。

たも「そんなはずはない」と心の中で笑っていた辺見さんですが、えみりさんの視力を測ってみると1.5から0.1に低下していたそうです。ほかにも家族しか知らない話を次々と言い当てられ、辺見さんは「この人は本当に神様と話せるのかもしれない」と思うようになります。

ですが、これは霊感商法の常套手段。あらかじめターゲットの近しい人物から情報を集め、それをさも「神様のお告げ」と装って話すのです。この場合、Kを紹介した辺見さんのマネジャーが「情報元」になっていた可能性が高いでしょう。

タネが分かれば何てことはありませんが、現実的な性格の人ほど、こういった「驚き」を利用したトリックにコロッと騙されてしまう傾向が強いといわれています。

これを境にKは「神様がお金を欲している」として金銭を要求するように。相談のたびに数万円を支払うようになり、Kから「このままだと息子さんがグレる。10万円払えば救える」と言われてアッサリとお金を差し出すほど辺見さんの洗脳は進行。いつしか辺見さんは、百万円単位のお金をKに渡すようになっていきます。

第3のステップ「嫉妬」…人間の心理を巧妙に利用

この時期、Kの元には別の女性相談者・Aの一家が出入りしていました。Aたちはお祈りなどの「修行」に励んでおり、当初それを辺見さんは傍観者として眺めているだけでした。しかし、徐々に辺見さんの心の中に「仲間はずれにされている」という意識が芽生えていきます。

やがて辺見さんは「Aさんたちがうらやましい、私だけ入れないのは悔しい」という嫉妬心に支配され、自ら「修行に参加させてください」と申し出ます。これはオウム真理教などのカルト宗教でも使われた洗脳の手口です。

自分から言い出したという負い目もあり、それからの修行に掛かる経費などはすべて辺見さんが負担することに。さらにKは辺見さんにマンションを借りさせ、A一家と共に転がり込んで同居。食費などの生活費もすべて辺見さんが支払うようになりました。

最終ステップ「囲い込み」…正常な判断能力を奪い去る!

出会って1年が過ぎたころにKは「神様が仕事を辞めろと言っている」とお告げをします。辺見さんはそれに従って二度目の芸能界引退をしました。

番組内で辺見さんは「これは洗脳の非常に大きなポイント」と強調。「仕事を辞めさせることで社会から断絶し、完全に自分たちで囲い込む。こうして私は100%洗脳されました」と語っています。

マンションで共同生活を送りながら社会と隔絶させ、常識的な判断能力を奪い去る…これは占い師との同居・籠城で世間を騒がせた、元オセロ・中島知子さんの洗脳騒動と非常に類似しています。

また、事務所トラブルで活動休止状態になった女優・能年玲奈さんの騒動とも共通点が多く、能年さんも仕事をほとんどしていない状態で魅力開発トレーナーを称する女性や、その弟子たちとマンションで共同生活を送っていると報じられました。

まさに洗脳の完成形といえる状態。完全に洗脳状態になった辺見さんは、それからたった半年で約1000万円もの大金を騙し取られてしまいます。

第二の「拝み屋」が登場…突き落とされた借金地獄

そんな中、緊急事態が発生します。突如としてKが姿を消してしまったのです。

ここらが潮時だと思ったのか別のトラブルを抱えていたのか、最初から姿を消す予定だったのか、失踪の原因は定かではありませんが、洗脳状態でKに依存していた辺見さんは途方に暮れました。

「今すぐ何かにすがりたい!」と不安になった辺見さんの前に、新たな拝み屋が現れます。Kの元で一緒に修行していたAが「ついに私にも神様の声が聞こえた!」と言いだしたのです。「神様の言葉」抜きに生活できなくなっていた辺見さんは安心し、今度はAに全てを委ねるようになります。

新たな拝み屋になったAは「金は汚いから全て捨てて浄化しなさい」と言いだし、辺見さんにギャンブルでお金をスッてこいと命令。それに何の疑問も持たないようになっていた辺見さんは、Aと一緒にマカオやラスベガスに行ってバカラ賭博などのギャンブルに1000万円単位のお金を使うという無茶な散財を繰り返します。

さらにAに命じられるまま生命保険を解約し、貴金属も売却。知人に借金を頼み、15歳で芸能界デビューした娘・えみりさんのギャラにまで手を付けます。自分の手元には何も残らないのに借金地獄の状態。最後には自宅まで売却させられ、それで得たお金もすべてギャンブルで失わされました。

もう売るものもなく借金地獄に落ちていた辺見さんに、さらなるAの搾取が襲い掛かります。Aの兄がマネジャーになって辺見さんの芸能活動を再開させ、ウソだらけの自叙伝を出版。1993年にはヘビとの絡みが話題になったヘアヌード写真集を発売させられました。ヘアヌード撮影に出発する朝、当時16歳だったえみりさんが「行かないで」と泣きながら止めたというほどの壮絶な決断でした。

あらゆる財産を失くし、借金地獄にも落とされ、衣服まではぎとられ…それもすべてギャラはAに奪われてしまいました。

洗脳と借金地獄からの生還

拝み屋に借金地獄に落とされて娘や周囲の信頼まで失った辺見さんでしたが、2001年に「脱洗脳」の機会がやってきます。

Aの命令で辺見さんはダイエット教室を開きましたが、生徒たちから集めた入会金2000万円をAに持ち逃げされたのです。

この時、辺見さんは「私の中で初めてAへの怒りが湧いてきた」と証言しており、自分を信じてくれた生徒たちのお金を奪われたことで目が覚めます。赤の他人である生徒たちが彼女を信頼して預けてくれたお金は洗脳よりも重かったのでしょう。

洗脳が解けるまでに掛かった期間は13年。Aに搾取された金額は4億9000万円にのぼったといいます。

奪われたお金は一銭も戻ってきていませんが、辺見さんは必死に仕事に励むことで生活が安定。しかし、えみりさんへのギャラ返済は終わっておらず、現在は娘にお金を返すために仕事をしていると辺見さんは熱く語っていました。

これは決して他人事の話ではありません。「拝み屋」のような霊感商法だけでなく、科学的根拠なく「健康になる」「ガンが消える」などとうたうインチキ医療、さらには「○○を買うだけで運気が上がる」などとする開運商法など、世の中に詐欺の手口は無数にあります。

辺見さんが言っていたように「こんなものに騙されるはずがない」と思っている人ほど、実際に詐欺に直面するとコロッと騙され、搾取の末に借金地獄に落ちてしまうことは多々あるのです。

言い方はおかしいですが、詐欺師も仕事のプロです。人を騙すことが仕事ですから「自分は騙されるはずがない」と思っている人を騙すのはお手の物。相手を借金地獄に落とすことにも全く躊躇がなく、心の弱った人をキャッチすれば全力で騙しにかかります。

それでも詐欺の手口を知っていれば十分に予防になるでしょう。「自分は騙されない」と根拠のない自信を持つよりも、少しでも怪しいと思ったら「あの手口に似ているぞ、もしかして…」と用心した方が絶対に安全です。辺見さんの教訓は、多くの被害者予備軍を救う意義あるものだったといえそうです。

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