国の教育ローンの申し込みで失敗しない方法。審査に通るために!

この記事でわかること
- 国の教育ローンは日本政策金融公庫の事業で100%国が出資
- 国の教育ローンには「年収制限」がある
- 国の教育ローンの申し込みに必要な書類と手続き
- 国の教育ローンで「申し込むべき」適正金額とは
- 国の教育ローン審査に落ちた時の対策
もくじ
はい、もちろんそのとおりです。しかし、実際に利用した者から言わせると、そんなに単純なものではありません(筆者体験済み)。教育資金調達には申し込み前にチェックしておいた方がよいことや、知らないと損をするようなことが、たくさんあります。
このページでは、まず国の教育ローンの特徴や申し込み条件を確認しましょう。実は世帯所得制限が細かくあり、注意が必要です。
さらに筆者が国の教育ローン融資担当者から直接聞いた、賢い利用方法を特別に伝授します。
※「国の教育ローンに落ちた方」「奨学金などでは間に合わず銀行教育ローンを探している方」は、コチラ↓からお読みください。
国の教育ローンの審査に落ちたら…
申し込み前に知っておきたい。国の教育ローンってどんなローン?
漠然と「国の教育ローン」と呼んでいるローン、正式名称は「株式会社 日本政策金融公庫」の「教育一般貸付」のことです。教育一般貸付(国の教育ローン) | |
---|---|
金利(2016年1月) | 2.05% |
限度額 (子供1人につき) |
350万円/海外留学資金の場合は450万円 |
融資実行(融資金振込)までの時間 | 最短で2週間 |
保証 | 連帯保証人または保証料の支払いから選べる |
返済期間 | 15年以内 |
優遇処置 | 母子家庭・父子家庭・交通遺児家庭・年収200万円以内の家庭は金利などの優遇あり |
融資申請 | ホームページの申込フォームか最寄りの支店窓口で受付/資料請求は電話でも可 |
日本政策金融公庫とは?
※政策金融機関…日本国政府が国民の生活の安定や経済活動の発展のために作った金融機関のこと。
したがって、株式会社の体裁にはなっていますが、政府が設立している特殊法人であり、所轄は財務省になっています。
国が設立している公庫が、国民生活事業の一環で貸し付けている教育ローンなので、「国の教育ローン」と呼ばれています。
奨学金とはどう違うの?
また、大学や専門学校など、学校が独自に出している奨学金や、企業・各種団体が出している奨学金などが数多くあります。貸与型の奨学金が目立ちますが、中には給付型(返済不要)の奨学金もあります。
奨学金の最大の特徴は、申込人および貸与・給付されるのが学生本人ということ。奨学金は貸与型の場合、学生本人の借金になります。返済開始後の毎月の返済額などを必ずシミュレーションしてから計画的に利用額を考えましょう。
教育ローンは、学生の両親(保護者)のうち主に世帯収入を維持している人が、借り主になります。
国の教育ローン、申し込み条件

こんな人が申し込める!
● 【条件1】進学先が融資対象の学校かどうか
次のような学校が対象になります。
⇒大学、大学院、短期大学
⇒専修学校、予備校、経理学校など
⇒高校、高専、特別支援学校の高等部
⇒海外の高校、高専、短大、大学、大学院など(原則6ヵ月以上の留学の場合)
⇒職業能力開発校などの教育施設
● 【条件2】世帯年収条件にあてはまること
扶養している子供の数に応じて決められている、世帯年収の上限額以内の年収であれば利用可能です。
世帯年収制限にご注意
▼ 国の教育ローン/年収制限
扶養している 子の人数 |
世帯年収の上限 | 事業所得者の 所得上限 |
特定の用件を 満たす場合 |
---|---|---|---|
1人 | 790万円 | 590万円 | 990万円/事業所得者は770万円 |
2人 | 890万円 | 680万円 | |
3人 | 990万円 | 770万円 | |
4人 | 1090万円 | 860万円 | |
5人 | 1190万円 | 960万円 |
扶養している子供が2人までの場合でも、特定用件に当てはまれば世帯年収(所得)が990万円(770万円)までの人が申し込めます。
特定条件はこちら。
・勤続年数が3年未満
・居住年数が1年未満
・世帯に自宅外通学者(下宿している人)がいる
・申込者か配偶者が単身赴任
・申込み理由が海外留学資金
・申込者の借入返済金が年収の30%超
・世帯年収の学費負担率が30%超
・世帯年収の学費+住宅ローンの負担率が40%超
・親族に要介護者がいて、介護費用を負担
・親族に「高額療養費制度」「特定疾患治療研究事業」または「小児慢性特定疾患治療研究事業」の利用者がいて、療養費用を負担
・居住年数が1年未満
・世帯に自宅外通学者(下宿している人)がいる
・申込者か配偶者が単身赴任
・申込み理由が海外留学資金
・申込者の借入返済金が年収の30%超
・世帯年収の学費負担率が30%超
・世帯年収の学費+住宅ローンの負担率が40%超
・親族に要介護者がいて、介護費用を負担
・親族に「高額療養費制度」「特定疾患治療研究事業」または「小児慢性特定疾患治療研究事業」の利用者がいて、療養費用を負担
追加融資はできる?
ただし、申し込み1回毎に必要書類の提出と審査が必要です。カードローンのように1回審査が通れば350万円まで無条件に借りられるわけではないので、注意してください。
国の教育ローン、必要書類

申し込みに必要な書類とは?
▼日本政策金融公庫 必要書類
借入申込書 | 教育ローンコールセンターより取り寄せし、申込者本人が自署すること。 |
---|---|
住民票の写し または住民票記載事項証明書 |
世帯全員の続柄が記載されたものの原本を提出。 ただし、本籍地とマイナンバーの記載は不要です。 |
運転免許証またはパスポート |
本人確認書類としてコピーを提出。本籍地の記載は黒く塗りつぶして提出のこと。 運転免許証で裏面に但し書きがあれば、裏面のコピーも用意。 ※どちらも用意できない場合はコールセンターに問い合わせのこと。 |
源泉徴収票または確定申告書(控え) |
直近分を用意すること。 ※連帯保証人を立てて申し込む場合は、連帯保証人の分も用意。 |
預金通帳(直近6ヵ月分以上) | 住宅ローンまたは家賃と、公共料金の支払いを確認できるものを用意。 ※コピーを取って郵送で申し込む場合は、通帳の金融機関名・預金口座番号がわかる部分もコピーする。 ※公共料金は、電気・ガス・水道・電話などのうち、2種類以上確認できるように用意。 ※コンビニ支払い等は領収書を用意 ※クレジット払いの場合の提出書類は後述 |
● 公共料金をクレジットで支払っている場合は?
筆者が国の教育ローンを使う際に最も苦労したのは、公共料金の支払い明細を提出することでした。というのも、公共料金をほとんどクレジット払いにしていたからです。
当然通帳には合算されたクレジット利用代金の引き落としの記録しかありません。
日本政策金融公庫の事務局に電話をして問い合わせたら、クレジット明細のコピーに「電気」「電話料金」などの該当箇所をマーキングして、引き落とし口座の該当部分と合致できるように分かりやすくして提出してください、とのことでした。
クレジット明細を保存していたので助かりましたが、最低半年分必要とのことで、もしもクレジット明細を処分してしまっていたら、カード会社に再発行を依頼してください、とのこと。日ごろからクレジット明細はしばらく保存しておくようにしましょう。
★質問・不明点がある場合は、ホームページに掲載の教育ローンコールセンターや公庫の本・支店を活用してみましょう。分かりやすく回答してくれます。専門家による役立つ教育費コラムなどもあります。返済額や返済期間・融資額に悩んだ際も、返済シミュレーションできますので、ご活用ください。
● インターネット経由の申し込み方法では借入申込書は不要
なお、ネット経由で申し込む場合は、借入申込書は不要です!入力時にミスのないよう、注意して下さいね!
追加書類が必要な場合は?
● 入学資金(進学者)の場合
合格通知書、入学許可証など、入学を証明できる書類を用意してください。合格前に申し込んでいる場合は、合格後速やかに提出しましょう。
● 在学資金(在学者)の場合
学生証、在学証明書など、在学を証明できる書類を用意してください。
合わせて、融資の使い道を確認するための授業料納付通知書や学校案内なども準備してください。
● 年収制限の特定条件(上限額緩和)の場合
「世帯のいずれかの方が自宅外通学(予定)者」「借入申込人またはその配偶者が単身赴任」「ご親族などに要介護(要支援)認定を受けている方がおり、その介護に関する費用を負担」に該当する方は、それぞれの状態が証明できる書類が必要です。
例えば自宅外通学者では、大学等の合格通知や学生証に加え、賃借予定の物件明細や不動産賃貸借契約書、住民票などをご用意ください。
国の教育ローン、賢く申し込む方法

いつ申し込んだら良い?
最近は入試方法が多様化しているため、早い所では夏ごろから翌年度入学のための試験が始まります。そのような場合でも、国の教育ローンはいつでも受け付けOKです。
申込みから融資までは、スムーズに進んだ場合でも2週間はかかります。また、受験シーズンに入ると申し込み者が増えますので、入学金に使いたい場合は余裕をもって申し込む必要があります。
おすすめなのは、受験前に早めに申込み、審査だけ通しておく方法です。融資の日程は指定できますので、合格が出た時点で手続きしましょう。
一度に申し込める金額
● 申込金額の目安は?
筆者が国の教育ローン担当者に確認したところによると、一度に申し込める金額は、今後1年間に必要と考えられる学費や諸経費の合計額が目安のようです。
申込時に入学予定(受験する予定)の大学名や学校名などを申告しますが、実際に担当者が向こう1年間の学費などを調査します。
必要な金額とあまりにもかけ離れた金額を申しこんだ場合は、満額認められなかったり、審査落ちになったりするケースもあるようです。
ただし、国の教育ローンは、受験そのものにかかる交通費や宿泊費、下宿が必要になった時の引っ越し費用等にも使えますので、必ずしも年間の学費だけが目安になるわけではありません。
要は今から1年間に必要な教育費として、説明できる金額かどうか、ということです。
● 申込金額を決める際の注意点は?
しかし、ここでひとつ注意。
国の教育ローンは、カードローンと違い、審査に通った限度額内で繰り返し出し入れできるものではなく、申し込み毎に1件1件書類を出し、審査を受けなくてはいけません。
一度申し込み、審査に通った後、もう少し追加融資をうけたいな、と思った場合でも、また1から書類を提出して審査を受けなくてはいけない、ということです。つまり、万一足りなくなった場合の追加融資はものすごく手間がかかるのです。
筆者が国の教育ローンを申しこんだ時も、申し込み後色々計算していると、「あと20万円足しておきたい」となりました。すぐに公庫事務所に相談すると、まだ審査結果が出る前だったので、金額の訂正だけで大丈夫でした。
その際、担当者に言われたのは、
「よかったですね~、審査前で!審査後だったら、ほんの少しの追加融資でも、また同じだけ書類をだして頂かないといけないので。」
「あとからキャンセルもできるし、一度融資を受けても余ったら一括返済すれば利息も節約できますから、ちょっと多めに申し込むのがコツですよ!」
…とのこと。

【まとめ】国の教育ローン、正しい申し込み方法
★ 受験前に、時間的なゆとりをもって申し込み、審査だけ通しておく。
実際の融資は合格決定後に依頼すればOK。審査まで通ったけど自己資金の利用などで借り入れの必要が無くなった場合は、もちろんキャンセル可能。
★ 向こう1年間に必要な学費プラス不自然でない程度に上乗せした金額で申し込む。
一度審査が終了すれば、追加融資は簡単でない。少額の追加でも再度申し込み・書類提出・審査が必要。必要な学費などを支払った後、もしも余ればその時点で繰り上げ返済を。
【情報】もしも国の教育ローン審査に落ちてしまったら…
日本学生支援機構の奨学金申込時に、特別増額貸与奨学金を一緒に申し込んでおくと、国の教育ローンが使えなかった場合に、入学時に別枠で奨学金が利用できます。
● 借りやすい銀行カードローンを利用
万一急ぎで予想外の追加融資が必要になったり、審査落ちしてしまったりした場合は、借りやすい低金利の銀行カードローンと組み合わせて使うのも一案です。資金使途も自由なので、入学に関わる様々な出費をカバーできます。
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